Microsoft 365 Copilot を使用するための事前準備と定着化に向けて
2025.01.23
目次
はじめに
Microsoft 365 Copilotとは 、OpenAIの生成AI機能のGPT-4をベースにした大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)が搭載されており、Teams、Outlook、Word、PowerPoint、Excelなどの各Officeアプリケーションに組み込み、組織内のチームやメンバーの生産性の向上や業務効率化を改善するためのツールです。
Microsoft 365 Copilotのご説明をさせていただいている記事もございますので、
もっと知りたい方はこちらをご覧ください。
Microsoft 365 Copilot を使用して、日常的な作業を効率的に!
<記事の目次>
- Microsoft 365 Copilotとは
- Microsoft 365 Copilotの特徴
- Microsoft 365 Copilotを導入するメリット
- Microsoft 365 Copilot Officeアプリケーションの活用方法
- Copilotを効率的に使うコツ
- 全社員定着化のために必要なこと
- Microsoft 365 Copilotの利用可能なライセンス・料金
- 利用可能なライセンス
- 料金
今回は、Microsoft 365 Copilotを使用するための事前準備と定着化に向けてご紹介いたします。
事前準備
セキュリティについて
Microsoft 365 Copilotでは、 独自の組織データの管理・保護を行い、組織データの情報漏洩を防止しております。
- アクセス制限:ユーザー、グループ、テナントでそれぞれのデータのアクセス制限をし、個人情報および内部情報の過剰共有を防止しております。これにより、ユーザーが閲覧可能なデータのみアクセスでき、Copilotでも活用可能です。
- アカウントログインの承認:パソコンに標準搭載(Windows10 Pro以上)されている暗号化機能のBitLockerの使用や、パスワード入力無しに各種サービスのアカウントへのログインを、簡単かつセキュリティを強固にするアプリのAuthenticatorなどを活用し、アカウントの乗っ取りを防止します。
- その他保護ツールの活用:
- Microsoft Entra ID:マイクロソフト社が提供するセキュリティ製品の一つで、データに接続するクラウドID及びアクセス管理を行うサービス
- 秘密度ラベル:Microsoft Purview Information Protectionの機能で、情報の機密性や取り扱いの厳格さを明確にするための分類機能
- Microsoft Entraのアクセスレビュー:グループメンバーシップ、エンタープライズアプリケーションへのアクセス、ロールの割り当てを効率的に管理
- Microsoft Intune:モバイルデバイスとモバイルアプリの管理が行えるサービス など
これらを活用して、 組織外への情報漏洩、またユーザーへの適切な情報共有を行うことが可能です。
社内データの整理について
Microsoft 365 Copilotを活用するにあたり、参考となるデータの整理が必要となります。- 古いコンテンツの整理:Copilotで資料作成を行うにあたり、組織データ内にあるすべての情報から検索をかけます。それにより、古い情報や最新情報かかわらず全ての情報を取得してきてしまいますので、古い情報の整理が必要となります。
- ファイル名の標準化:データ検索の際、同じプロジェクトやコンテンツのデータファイルの標準化をすることで、全社員が作成した資料をスムーズに見つけ出すことが可能です。
- ファイルへのキーワードのタグ付け:情報の検索性を高め、重複ファイルの防止、情報整理の効率化、共同作業の円滑化が見込めます。
全社員にCopilotを定着させるにあたって
Microsoft 365 Copilotを活用していくにあたり、全社員への展開が必要となります。しかし、一度に全社員へ展開してしまうと課題が発覚した段階で対応できる部署がない状態となってしまいます。
そこで、①導入検討②トライアルを行い、全社展開における研修や展開方法の構築の考案、成功例の発見・共有、Copilotの魅力や使い方を広める人材の育成などを行い、全社員への展開を行うことをおすすめします。
- 導入検討
- DX・IT推進担当部署の方々により基本機能や操作方法の把握を行います。
- トライアルに向けた人数の検討・研修内容の考案・研修内容の構築を行います。
こちらでは、DX・IT推進担当部署の方々からトライアルの方々にお教えする段階では、少数の方々への対応が可能かと思われます。
その後、トライアルから全社展開の際、サポートできる人数・個人の作業負担を鑑みてトライアル人数の選定が必要です。
- トライアル
-
- 小規模でトライアルとしてCopilotを活用していただき、活用して出てくる課題や定着化における体制構築を行います。
- 良い活用方法などを見つけ、成功事例として展開していくこともよいでしょう。
同時にCopilotの魅力や説明を行う人の教育も実施していくと、今後全社員展開された際、質問や課題への対応が可能です。
定着化における課題
定着化における課題として、「活用しようと思わない」「使用することに不安感がある」「効果の実感できない」「実践の場がない」などの課題が出てくるかもしれません。
このような課題へのは、それぞれの段階で必要な対策を行うことをおすすめいたします。
- 「活用しようと思わない」方々の場合
使用する上でのメリットの説明や成功体験の共有、ゲーム要素の取り入れ、コミュニティの活用などの対策が考えられます。- 研修では、Copilotを活用するメリットや効率化・工数削減見込みなどを説明し、成功体験などのお話などで興味を持ってもらいます。
- ポイント制やランキングなどのゲーム要素を取り入れることにより楽しみながら活用できる環境を作ります。
- 活用者同士が交流し、助け合えるコミュニティを構築することで、質問や意見を共有し問題解決のできる環境を提供します。
- 「使用することに不安感がある」方々の場合
社内データを取り扱うので、セキュリティ面の不安や、「操作方法がわからない」「その操作をして変なことになったらどうしよう」などの不安感を、セキュリティの対策説明や初心者向けの操作説明研修などの対策が考えられます。- Microsoft 365 Copilotを活用する上でのデータ保護・管理に関してのセキュリティ面を研修で説明します。
- 初心者向けに実際に操作体験しながら、操作方法を学びCopilotに触れていく研修を行います。
- 「効果の実感できない」方々の場合
具体的な成功事例の共有、Copilotのアウトプットの精度が高まるプロンプト(指示内容)の考え方を説明する研修などの対策が考えられます。- 活用者それぞれの具体的な成功事例を収集し、まとめたものを共有します。
- プロンプトに背景情報の記載、アウトプット方法を明確に記載、例を記載、文字数や文章の長さなどの記載などの、Copilotのアウトプットの精度が高まるプロンプト(指示内容)の説明する研修を行います。
- 「実践の場がない」方々の場合
アウトプットできる場所として発表する場や座談会などの対策が考えられます。 - 短期間での活用・発表プログラムや対面座談会などの実施を行い、活用者同士の意見交換や問題解決できる環境を作ります。
- 活用者同士が交流し、助け合えるコミュニティを立ち上げ、最新情報や成功事例の共有を行います。
このように、それぞれの問題に対して対策を立てていくことにより、社員全員がCopilotの活用が進み、作業効率の向上が見込めます。
成功プロンプト例
Teams 会議において
例1)機能:質問する内容を考える
プロンプト(指示内容):現在の議題「〇〇」に関して、議論を深めるための重要な質問を3つ提案してください。各質問には、その質問が重要である理由も簡潔に説明してください。
効果:議論の質を高め、重要なポイント見逃さないようにする。また、参加者全員が議論をより深く理解し、建設的な対話を促進する。
例2)
機能:日本語会議の要約をする
プロンプト(指示内容):この日本語ミーティングの内容を英語で要約してください。以下の点を含めてください:①主要な議題(箇条書きで3~5点)②各議題での主な決定事項③次のアクションアイテム(担当者と期限を含む)④未解決の問題や今後の課題 要約は500字以内でお願いします
効果:言語の問題を解決し重要な情報を効率的に共有でき、参加者全員が会議の結果を明確に理解し必要なフォローアップを行ことができます。
例3)
機能:意見の整理
プロンプト(指示内容):これまでの議論で出た意見を賛成派と反対派に分類し、それぞれの主な論点をまとめてください
効果:参加者の意見を整理し、議論の全体像を把握できます。
Copilot 社内の情報検索
例1)機能:特定の会議の要約
プロンプト(指示内容):〇〇会議の文字起こしデータを分析し、以下の項目を含む要約を作成してください:①主要な議題と結論②重要な決定事項③参加者の主な意見や懸念④次のアクションアイテムと担当者 要約は箇条書きで、簡潔かつ具体的にまとめてください。
効果:会議の重要ポイントを迅速に把握し、次のアクション箇所を明確にできます。
例2)
機能:直近のメールの確認
プロンプト(指示内容):過去24時間以内に受信した重要なメールを最大5件まで抽出し、各メールの送信者、件名、主要なポイント(50字以内)を表形式でまとめてください。緊急性の高いものがあれば、その旨を明記してください
効果:短時間で重要なメールを把握し、迅速な対応が可能になります。
例3)
機能:予定の確認
プロンプト(指示内容):今週の予定を分析し、以下の形式でまとめてください:①重要な会議とその目的②締め切りが近い作業項目(日付付き)。また、スケジュールの適切化のためのアドバイスがあれば追加してください
効果:効率的なスケジュール管理が可能になり、優先順位の高いタスクに集中できます。
Word 新規の文章を作成
例1)機能:簡単な文章作成
プロンプト(指示内容):以下のトピックについて、400字程度で簡潔な説明文を作成してください。トピック:〇〇。説明文には、定義、特徴、重要性を含めてください。また、小学生でもわかりやすい言葉で、専門用語は必要最小限に抑えてください
効果:指定したトピックについて構造化された簡潔な説明文が得られます。わかりやすい言葉で文章が生成され、短時間で効率的な文書作成が可能になります。
例2)
機能:プレゼンのスピーカーノートの作成
プロンプト(指示内容):「プレゼン資料名添付」に基づいて、各スライドのスピーカーノートを作成してください。。各ノートには以下の要素を含めてください。①スライドの主要ポイント(1~2文)②補足説明や具体例(2~3文)③聴衆への問いかけ(1文)。全体の長さは各スライドあたり100~150字程度とし、専門用語には簡単な説明を加えてください。
効果:プレゼンテーション資料に合わせた効果的なスピーカーノートが生成され、要素を盛り込むことでプレゼンテーションの質を高め、充実したノートが作成可能です。
PowerPoint 新規作成
例)機能:スライドの下書き
プロンプト(指示内容):以下のWordのアウトラインを使用して、10枚のPowerPointのスライドを作成してください。各スライドには、タイトル、3つの要点、関連する画像や図表を含めてください。また、スライドマスタを使用して、一貫したでデザインを適用してください。アウトライン:「Wordのアウトライン資料添付」
効果:Wordで作成したアウトラインを効果的にPowerPointのスライドに変換し、一貫性のあるデザインで作成されます。スライドマスタを活用することにより、プロフェッショナルな外観で作成が可能です。
Excel データの分析・変換
例1)機能:相関関数の作成
プロンプト(指示内容):各列の相関関数を分析し、最も強い正の相関と負の相関を持つ組み合わせを特定してください。相関係数も含めてください
効果:データ間の関係性を明確に理解し、因果関係の仮説を立てるための情報を得られます。
例2)
機能:関数の複雑な計算
プロンプト(指示内容):「年間総売上」を計算する関数を作成してください。計算には、月別売上データと四半期ごとの変動係数を考慮してください
効果:複雑な計算を正確かつ効率的に行えます。
例3)
機能:比較分析グラフの作成
プロンプト(指示内容):各部門の今年度と前年度の売上を比較する棒グラフを作成してください。グラフには成長率も表示し、成長率順にソートしてください。
効果:部門間のパフォーマンス比較と年度間の変化を一目で確認できます。
各Officeアプリケーションの活用事例に関しまして、もっと知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
https://www.open-lab.co.jp/microsoft-365-copilot-%e3%81%ae%e3%82%a2%e3%83%97%e3%83%aa%e3%82%b1%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3%e6%b4%bb%e7%94%a8%e4%be%8b%e3%81%ae%e3%81%94%e7%b4%b9%e4%bb%8b/
まとめ
今回は、Microsoft 365 Copilot を使用するための事前準備と定着化に向けてまとめました。Copilotの活用にあたり、事前準備では、セキュリティやデータの整理を行い、
定着化に関しての課題対策を考案していくことにより、社員全員が安心して活用し、作業効率を向上できます。
以上、ここまでご覧いただきありがとうございました。
Microsoft 365 Copilotにご関心がある場合、ぜひお問い合わせください。
以上、最後までご愛読いただき
ありがとうございました。
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