Azure AI LanguageとAzure OpenAI Serviceの違いと活用方法

2024.07.18
Azure AI LanguageとAzure OpenAI Serviceの違いと活用方法

はじめに

こんにちは。今回は、Microsoft Azureが提供する自然言語処理に関連した2つのAIサービス、「Azure AI Language」と「Azure OpenAI Service」について詳しく解説します。
近年、AIやクラウドコンピューティングの発展に伴い、自然言語処理や機械学習の技術を手軽に利用できるようになりました。これらのサービスを活用することで、開発者や企業はAIを活用したアプリケーションを効率的に構築できます。

Azure AI Languageの概要と特徴

Azure AI Languageは、テキストデータの分析や理解、生成などの機能をAPIを通じて提供するクラウドベースの自然言語処理サービスです。主な特徴は以下の通りです。

  • 高度な言語理解モデルを利用可能
  • 多言語対応(100以上の言語をサポート)
  • 事前学習済みのモデルを提供
  • カスタムモデルのトレーニングにも対応
  • REST APIやSDKを通じて簡単に統合可能

Azure AI Languageが提供する主な機能

  • カスタムテキスト分類
    機械学習を用いて、事前に定義したカスタムクラスにテキストを分類するモデルを構築できます。単一ラベル分類と複数ラベル分類の両方に対応しています。

  • 会話言語理解
    自然言語を理解してユーザーの意図を解釈し、会話から重要な情報を抽出します。分野に特化したキーワードやフレーズを多言語で扱えるカスタムモデルを作成可能です。

  • エンティティリンク設定
    テキスト内のエンティティを識別し、曖昧さを解消してWikipediaの詳細情報にリンクします。

  • 言語検出
    入力テキストの言語を100以上の言語から自動検出します。

  • キー フレーズ抽出
    テキストから重要なキーワードやフレーズを抽出します。

  • 名前付きエンティティの認識(NER)
    テキスト内の人名、場所、組織名などの固有表現を事前定義のカテゴリに分類します。

  • 個人を特定できる情報(PII)の検出
    メールアドレス、電話番号、クレジットカード番号などの個人情報をテキストから検出します。

  • 感情分析とオピニオンマイニング
    テキストからポジティブ/ネガティブ/ニュートラルの感情を検出し、製品の属性に対する意見を抽出します。

  • Text Analytics for Health
    診断名、症状、投薬、検査結果など医療関連の概念をテキストから抽出します。

  • カスタムの質問応答
    ナレッジベースを使って、ユーザーの質問に対する最適な回答を見つけます。

これらの機能は、Language StudioのWeb UIやREST API、クライアントライブラリから利用できます。事前学習済みのモデルを使うものと、カスタムモデルを作成するものがあります。

Azure OpenAI Serviceの概要と特徴

Azure OpenAI Serviceは、OpenAIの大規模言語モデル(GPT-4、GPT-3.5-Turboなど)へのアクセスを提供するサービスです。主な特徴は以下の通りです。

  • OpenAIの最先端の言語モデルを利用可能
  • テキスト生成、会話、要約、翻訳、コード生成など、多様なタスクに対応
  • ファインチューニングによるカスタマイズが可能
  • APIを通じて簡単に統合可能

Azure OpenAI Serviceを利用することで、開発者はOpenAIの強力な言語モデルを自社のアプリケーションに組み込むことができます。これにより、高度な自然言語処理機能を持つアプリケーションを短期間で開発できます。
例えば、GPT-3.5-Turboを活用して、ユーザーとの自然な会話を実現するチャットボットを構築することができます。また、Codexを用いて、自然言語の指示からプログラムコードを生成するツールを開発することもできます。

Azure OpenAI Serviceの主な機能と利点

  • 簡単な統合
    シンプルで使いやすいAPIにより、テキスト生成、要約、感情分析、言語翻訳などのさまざまなタスクに使用できるエンドポイントが提供されます。

  • 事前学習済みモデル
    膨大なデータで微調整された事前学習済みモデルにより、開発者は最初からモデルをトレーニングすることなく、AIの力を活用できます。

  • カスタマイズ
    事前学習済みモデルを独自のデータで微調整することで、より個人的で専門的なAIアプリケーションを作成できます。

  • ドキュメントとリソース
    チュートリアル、ガイド、コードサンプルなど、さまざまなユースケースとシナリオをカバーする包括的なドキュメントとリソースが提供されています。

  • コミュニティサポート
    フォーラムやサポートチャネルを通じて、質問をしたり、ガイダンスを求めたり、他の人の経験から学んだりできる活発なコミュニティがあります。

  • スケーラビリティと信頼性
    Microsoft Azureでホストされているため、基盤となるインフラストラクチャの管理を心配することなく、AIアプリケーションを自信を持って展開できる堅牢なスケーラビリティと信頼性が提供されます。

  • 責任あるAI
    倫理的原則の順守、説明可能性ツール、ガバナンス機能、多様性と包括性のサポート、コラボレーションの機会の提供により、責任あるAIを推進しています。

Azure AI LanguageとAzure OpenAI Serviceの違い

Azure AI LanguageとAzure OpenAI Serviceは、どちらも自然言語処理に関連したAIサービスですが、提供される機能や利用形態には違いがあります。

比較項目Azure AI LanguageAzure OpenAI Service
提供機能テキスト分析、会話モデルの構築などOpenAIの大規模言語モデルの機能を幅広く利用可能
利用形態REST APIやSDKを通じてアプリケーションに組み込むAPIを通じてOpenAIのモデルにアクセスし、入出力を行う
データ管理ユーザーのデータはMicrosoftのモデルの改善に使用されないユーザーのデータはOpenAIのモデルの改善に使用されない

用途に応じて適切なサービスを選択することが重要です。テキスト分析やチャットボットの構築が主な目的ならAzure AI Language、より高度で多様な自然言語タスクへの対応が必要ならAzure OpenAI Serviceが適しているでしょう。

Azure AI Languageの活用事例

  • カスタマーサポートの自動化
    ユーザーからの問い合わせメールを自動的に分類し、よくある質問に対しては自動応答を返すシステムを構築できます。これにより、カスタマーサポートの効率化と迅速な対応が可能になります。

  • ソーシャルメディア分析
    ソーシャルメディア上の投稿を分析し、ユーザーの反応や評判を把握することができます。感情分析やキーフレーズ抽出を活用して、自社製品やサービスに対する評価を収集し、マーケティング戦略に役立てることができます。

  • ドキュメント管理の効率化
    大量のドキュメントを自動的に分類し、重要な情報を抽出するシステムを構築できます。言語検出や固有表現認識、テキスト要約などの機能を組み合わせることで、ドキュメント管理の効率を大幅に向上できます。

Azure OpenAI Serviceの活用事例

  • 自然な会話を実現するチャットボット
    GPT-3.5-Turboなどの大規模言語モデルを活用して、ユーザーとの自然な会話を実現するチャットボットを構築できます。カスタマーサポートやオンラインショッピングの案内など、様々な場面で活用できます。

  • 自然言語からのプログラムコード生成
    Codexなどのモデルを用いて、自然言語の指示からプログラムコードを生成するツールを開発できます。プログラミングの知識がない人でも、自然言語で指示を与えるだけでコードを生成できるようになります。

  • 高品質な文章の自動生成
    GPT-3.5-Turboなどの言語モデルを活用して、高品質な文章を自動生成できます。与えられたトピックや文脈に基づいて、自然で読みやすい文章を生成することができます。

Azure OpenAI Serviceの学習リソース

Microsoft Learnでは、Azure OpenAI Serviceの学習リソースが提供されています。主なラーニングパスは以下の通りです。

  • Azure OpenAI Serviceの概要
    Azure OpenAI Serviceリソースの作成方法、ベースモデルの種類、Studio、コンソール、REST APIを使ったモデルのデプロイとテスト方法などを学びます。

  • Azure OpenAI Serviceを使った自然言語ソリューションの構築
    Azure OpenAI Serviceをアプリケーションに統合する方法、REST APIやSDKを使ったプロンプトへの応答生成方法などを学びます。

  • Azure OpenAI Serviceでのプロンプトエンジニアリング
    プロンプトエンジニアリングの概念と、明確な指示、出力構成のリクエスト、文脈情報の使用によるプロンプトの最適化方法を学びます。

  • Azure OpenAI ServiceでのDALL-Eを使った画像生成
    自然言語のプロンプトから画像を生成するDALL-Eの機能と、Azure OpenAI StudioやREST APIを使った画像生成方法を学びます。

  • Azure OpenAI Serviceでのコード生成
    自然言語のプロンプトからコードを生成する方法、AIモデルを使ったユニットテストの構築や複雑なコードの理解、既存のコードへのコメントやドキュメントの生成方法を学びます。

まとめ

Microsoft Azureが提供するAzure AI LanguageとAzure OpenAI Serviceは、どちらも自然言語処理に関連した強力なAIサービスです。Azure AI Languageはテキスト分析や会話モデルの構築に特化しているのに対し、Azure OpenAI Serviceは最先端の大規模言語モデルを幅広く利用できるサービスです。これらのサービスを活用することで、開発者や企業はAIを活用したアプリケーションを効率的に構築できます。

カスタマーサポートの自動化、ソーシャルメディア分析、ドキュメント管理の効率化など、Azure AI Languageは様々な業務の効率化に役立ちます。一方、Azure OpenAI Serviceは、自然な会話を実現するチャットボットや、自然言語からのプログラムコード生成など、高度な自然言語処理を必要とするアプリケーションの開発を可能にします。

AIの力を借りて、ビジネスの効率化や新たな価値の創出に挑戦してみてはいかがでしょうか。Azure AI LanguageとAzure OpenAI Serviceを上手く活用することで、これまでにない革新的なアプリケーションが生まれるかもしれません。自然言語処理の分野は日々進化しており、今後もさらなる発展が期待されます。最新の技術動向を追いながら、自社のビジネスにどう活かせるかを考えていくことが重要です。

Microsoft Learnが提供する学習リソースを活用して、Azure OpenAI Serviceの基礎から応用まで学ぶことができます。自然言語プロンプトを使ったコード生成や画像生成など、最先端の機能を実際に試してみることをおすすめします。

AIの可能性は無限大です。Azure AI LanguageとAzure OpenAI Serviceを活用して、自然言語処理の力を最大限に引き出してください。皆さんの創造力と工夫次第で、これまでにない画期的なアプリケーションが生まれるかもしれません。AIの力を借りて、ビジネスの新たな可能性を切り拓いていきましょう。

以上、最後までご愛読いただき
ありがとうございました。

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